記録すべきサバー様

葦原中國者、磐根・木株・草葉、猶能言語。夜者若熛火而喧響之、晝者如五月蠅而沸騰之(『日本書紀』神代下)

 おはようございます。山田です。今朝の道の駅豊北、雲はあるけど晴れています。明日から寒くなるそうですが、道の駅豊北も明日1/24は定休日。お買物はお早めに!

太翔館展示 サバー送り

 2023年1月23日、文化庁の文化審議会が「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」として選択した3件の中に、「北浦地方のサバー送り」が選ばれました。そう、豊北町ではいつの間にか道端に居て、気づいたら消えている、不思議な藁のアレ。

 「北浦地方のサバー送り」は、長門市から下関市にかけて広域的に行われる、虫送りの行事です。田植えの後、「サバーサマ(サバー様)」「サネモリサマ(実盛様)」という騎馬武者姿の藁人形2体を、住民がリレー式に順次、ムラの外に送り出し、害虫を追い払い、無事な生育を祈願するもの。

長門市の飯山八幡宮をスタートして、豊北町域まで移動し、時には豊浦町域にも進み、最後は海に流されるとか。これだけ遠くまで送り継がれる例は、全国的にも稀だそうです。生業の変化や過疎化によって、藁人形の作り手の高齢化や運び手の減少が進んでいることから、早急な記録の作成を必要として、今回選択されました。

葦原中國者、磐根・木株・草葉、猶能言語。夜者若熛火而喧響之、晝者如五月蠅而沸騰之(『日本書紀』神代下)

葦原中国(あしはらのなかつくに)は、岩や木や草までよくしゃべる。夜は炎のようにやかましく、昼は五月蠅(さばえ)のように騒がしい。

 今回の冒頭は『日本書紀』神代下から。天の神様が、天上から後に日本となる土地を眺めて発した台詞。「騒がしく落ち着きのない国をひとつにまとめて行かなければならない」とする場面で、騒がしい例えとして「五月蠅(さばえ)」という言葉が使われています。

太翔館展示 サバーサマ

 現代の豊北町では、「サバーサマ(サバー様)」の「サバー」は稲につく害虫ウンカのことですが、およそ1300年前に書かれた『日本書紀』にある古い言葉。日本は古くから、稲作によってたつ国だったのです。

 「サネモリサマ(実盛様)」は、源平合戦の時代の武士・斎藤実盛(さいとうさねもり)。加賀国(石川県)篠原合戦で、乗っていた馬が稲の切り株につまづいて討死したので、怨んで稲につく害虫となったという伝説があります。

文化庁HPより 文化財体系図

 「文化財」とは、我が国にとつて歴史上、芸術上、学術上価値の高いとして認められたもの。サバー送りのような生活に根差した行事は、「国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの」として「民俗文化財」と呼ばれます。サバー様は、建物や民具と異なり、行事そのものは形のないものなので、「無形民俗文化財」に分類されます。

 「北浦地方のサバー送り」は、2009年、山口県によって文化財に指定され、今回は国によって「特に記録作成などの必要のあるもの」として選択されました。今記録しておかないと、いつなくなるかわからないサバー送り…夏に豊北町へお越しなら、ぜひサバー様に見参を!

道の駅豊北お米売り場

 道の駅豊北では只今、サバー様に守られた豊北町の田んぼで作ったお米を販売しています。こちらもぜひ☆

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です