特牛 辨色立成云特牛 俗語云古度比 頭大牛也(『倭名類聚鈔』巻十一)
おはようございます。山田です。今朝の道の駅豊北は、昨日の荒れ模様はどこへやら、すっかり快晴。気持ちの良い朝です!
夏が旬の「ケンサキイカ(地元では「ヤリイカ」)」のブランド「下関北浦特牛イカ」は、豊北地域で水揚げされる活イカと、特牛市場に水揚げされる鮮魚イカのAランク(漁獲日に水揚げされたもの)、及びそれらを、鮮度を保ったまま冷凍したもの。
道の駅ほうほくでも、活イカはまだシーズン前ですが、特牛イカの加工品は人気商品です☆
さて、情報コーナーでは時々、「なぜ『特牛』と書いて「コットイ」と読むのか?」という質問をいただきます。JR特牛駅は、難読駅名として、TVで取り上げられたこともあります。
今日も朝イチで「案内看板にアルファベット表記があっても、何と読めばいいのかわからん!」という、なんとも言い難いご感想をいただきました。地名人名の読み方は、むつかしいんですよね…。
お時間のある方には、「なぜか、はよくわかりませんが、平安時代の辞書に『特牛』は「コトヒ(コトイ)」とフリガナ(正確には万葉仮名)がふってあるので、千年前から『特牛』は「コットイ」みたいです」と、詳しくお話しています。
特牛 辨色立成云特牛 俗語云古度比 頭大牛也(『倭名類聚鈔』巻十一)
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特牛 辨色立成に云う特牛 俗語に云う古度比(ことひ/ことい) 頭の大なる牛なり(『倭名類聚鈔』巻十一)
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特牛 『辨色立成』に特牛とある。俗語に「ことひ/ことい」と言う。頭の大きな牛のことである。
今回の冒頭は、『倭名類聚鈔(わみょうるいじゅしょう)』から。図書館にあったのが現代思潮社『覆刻 日本古典全集』なので、そのタイトル通り『倭名類聚鈔』にしましたが、『和名類聚抄』が一般的な表記です。
『和名類聚抄』は略して『和名抄(わみょうしょう)』とも言い、平安時代中期、当代随一の和漢にわたる学者であった源順(みなもと の したごう)による、現存最古の漢和辞書。承平年間(931~938)の成立と考えられています。
当時の醍醐天皇皇女・勤子(きんし/いそこ)内親王のために編纂されました。3000余の項目と、万葉仮名(まんようがな)による和名(日本語の名前)約3000、源順による説明を付記。全文が漢文で記され、和訓(日本語の読み方)も万葉仮名を使用しています。
「辨色立成(べんしきりゅうじょう)」は、『和名抄』の引用のされ方から、平安時代以前に成立した何らかの書籍と思われますが、現在では失われてしまっており、詳細不明です。その書物でも「特牛」の語があり、牛のことだったようです。
「頭大牛也」は、そのままだと「頭部が大きい牛」ですが、頭が大きいということは体も大きいことを表しているのか、当時は頭部が特別に大きい種類の牛がいたのか、別の意味があるのか、よくわかりません。個人的には、なんとなく「がっしりした」という意味かなと思っています。
「特牛(こっとい)」については、まだまだネタがあるので、またご紹介しますね!