於蓬蔂丘誉田陵下蓬蔂、此云伊致寐姑 逢騎赤駿者。(『日本書紀』雄略天皇九年秋七月条)
おはようございます。山田です。今朝の道の駅ほうほくは、うっすら曇りですが、空は青いです。田植えはほぼ終わり、道端の紫陽花も華やか。明日はお天気が心配なので、お出かけはお早めに☆
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於蓬蔂丘誉田陵下蓬蔂、此云伊致寐姑 逢騎赤駿者。(『日本書紀』雄略天皇九年秋七月条)
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蓬蔂丘(いちびこのおか)の誉田陵(ほむたのみささぎ)の下に於いて<蓬蔂、此には伊致寐姑(いちびこ)と云ふ>赤駿(あかむま)に騎(の)れる者(ひと)に逢(あ)ふ。(『日本書紀』雄略天皇九年秋七月条)
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蓬蔂丘(いちびこのおか)の誉田陵(ほむたのみささぎ)の下で、<「蓬蔂」はここでは「伊致寐姑(いちびこ)」と言う>赤い素晴らしい馬に騎乗した人と出会いました。
今回の冒頭は、『日本書紀』雄略天皇九年秋七月条から。『日本書紀』は奈良時代の720年に編纂された、日本最古の公的歴史書。
乙巳の変(いつしのへん)いわゆる大化の改新で年号が制定される以前は、天皇の治世ごとに区切って記述されていて、「雄略天皇七年三月」は、第21代 雄略(ゆうりゃく)天皇が即位して九年目の七月の出来事ということになります。だいたい5世紀後半くらい。当時は旧暦なので、7月~9月が秋。
「蓬蔂丘」は地名で、注釈に「蓬蔂、此には伊致寐姑(いちびこ)と云ふ」とあるので、「いちびこのおか」と読むのでしょう。この「伊致寐姑(いちびこ)」とは、「いちご」のこと。
平安時代前期に成立した『倭名類聚抄(わみょうるいじゅうしょう)』には「以知古(いちご)」とあるので、奈良時代の「いちびこ」から、平安時代にかけて「いちご」に変化したようです。とはいえ、私たちがイメージする現代のいちごは明治時代になって普及したもので、当時「いちご」と言えば、「きいちご(木苺)」や「のいちご(野苺))」でした。
『日本書紀』に載っているのは、河内国(かわちのくに:現在の大阪府)からの報告の一文。田辺史(たなべのふひと)伯孫(はくそん)という人が出会った、馬に関わる不思議なお話です。
ある夜、伯孫は、出産した娘を見舞った帰り道、誉田陵(おそらく応神天皇陵)があるイチビコの丘のふもとで、素晴らしい馬と出会います。龍のように、大きな鳥のように、空を飛ぶように駆ける赤い馬に魅せられた伯孫は、見知らぬ乗り手に頼み込んで、自分の馬と交換してもらいました。
帰宅した伯孫は、その馬を厩(うまや)につなぎます。ところが、一夜が明けて厩に行って見ると、伯孫を乗せて家まで走って来た馬は、埴輪(はにわ)の馬に変わっていました。
あわてて誉田陵に行くと、陵墓に並んだ埴輪の馬の中に、昨晩取り換えた自分の馬を見つけました。そこで、もう一度馬を取り換えて、埴輪の馬を誉田陵に戻したと言うのです。
馬の埴輪は出ていませんが、道の駅ほうほくの敷地にある和久(わく)古墳では、海を見下ろす古墳と石棺の姿を見ることができます。昔は「鬼のカマド」と呼ばれていましたが、豊北町により1981(昭和56)年、この地域の首長級の古墳として、史跡に指定されました。
和久古墳は、直径約10m、高さは約2.5mと推定され、海を見下ろす尾根先端の標高16.5mに築かれています。近隣の凝灰岩(砂岩・礫岩)を左右対称に積み上げた、幅1.4m、奥行3.0mの横穴式(よこあなしき)石室。
副葬品には須恵器(すえき)の壺、石やガラスで作られた玉の装身具、鉄製の刀や鏃、そして馬具が出土。これらにより、6世紀後半(古墳時代後期)に築造されたと判明しました。道の駅ほうほくにある現在の形は、2010(平成22)年に実施した発掘調査に基づいています。
道の駅ほうほくから車で10分の、土井ヶ浜遺跡・人類学ミュージアムでは、土井ヶ浜遺跡発掘開始70周年記念 土井ヶ浜遺跡・人類学ミュージアム開館30周年記念企画展『弥生ライフ』を開催中。7月2日まで!
古墳時代より前の弥生時代、土井ヶ浜に生きたひとりの女性の人生をたどりながら、土井ヶ浜遺跡や下関市内で出土した考古資料を展示。当時の人々の実像に迫ります。弥生時代の人々の食事や、考古学や人類学でわかる当時の生活が紹介されていますよ。
土井ヶ浜遺跡発掘調査開始70周年記念・土井ヶ浜遺跡・人類学ミュージアム開館30周年記念企画展『弥生ライフ』
- 日時:2023年3月21日(火・祝)~2023年7月2日(日)9:00~17:00
- 会場:土井ヶ浜遺跡・人類学ミュージアム(山口県下関市豊北町神田上891-8)
- 観覧料:一般200円、大学生等100円、高校生以下無料、65歳以上の下関市民・北九州市民100円
- 休館:月曜(祝日の場合は翌平日、5/1と8/14は臨時開館)
- 主催:土井ヶ浜遺跡・人類学ミュージアム、下関市
- 問合せ:人類学ミュージアム:083-788-1841