道の駅 北浦街道ほうほく For Foreign Tourists

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…定休日 

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スタッフブログ 2023.09.15

手いれせぬ香もまた可なる節句かな

手いれせぬ 香もまた可なる 節句かな(田上菊舎『「手いれせぬ」句自画賛菊図』)

太翔館の睡蓮 山口県下関市豊北町滝部

こんにちは。山田です。今朝の道の駅ほうほく、雨がしとしと降っていますが、元気に営業しております!

菊の花 道の駅ほうほく(山口県下関市豊北町)

道の駅ほうほくでは、花苗や切り花も置いています。今朝は、秋の花の代表、菊もたくさん入荷していました。

供花のイメージが強いかもしれませんが、色が鮮やかなので、高低差やいろんな色を組み合わせたりして動きをつけて飾ると、生活空間にも似合う華やかさになります。これからの季節にぜひ☆

豊北町で菊といえば、道の駅の近く、下関市豊北町滝部にある下関市立豊北歴史民俗資料館「太翔館」で、江戸時代の女流文人・田上菊舎生誕270年記念企画展『旅の尼・田上菊舎 身は風雲の過客にして』が開催されているので、行ってきました。館内は資料館の許可を得て撮影・公開しています。

田上菊舎生誕270年記念企画展『旅の尼・田上菊舎 ―身は風雲の過客にして―』 太翔館(山口県下関市豊北町滝部)

二階講堂の展示は「第一章 四季の書画」「第二章 和歌の交わり」「第三章 旅に生きた菊舎」と、期間限定の資料特別公開スペースに分かれています。今回の企画展、何がありがたいって、俳句や手紙の崩し字がほぼ全部、活字化されている親切仕様☆

少なくとも、読みたいところはおおむね横に活字で書いてあります。なにしろ菊舎は文人、その書画や和歌が読めないと、何も話ができません。そもそも俳句は「軽妙洒脱」がスタンダードな文学で、特に菊舎は、現代人でも楽しめる愛嬌のある句が特徴。読まなきゃもったいない!

田上菊舎『「手いれせぬ」句自画賛 菊図』太翔館

手いれせぬ 香もまた可なる 節句かな(田上菊舎『「手いれせぬ」句自画賛 菊図』)

今回の冒頭は、企画展でメインに飾られている田上菊舎(たがみきくしゃ:1753-1826)の『「手いれせぬ」句自画賛 菊図』から。「菊の節句には、手入れも何もしていないのに菊の花が咲いて香がする、それがまた素敵」という「菊の節句(せっく)」つまり「重陽(ちょうよう)」を詠んだ句ですが、「香(か)」と「可(か)」をかけて、韻を踏んでいるところに、遊び心がありますね。

田上菊舎は、江戸時代の豊浦郡田耕村(山口県下関市豊北町田耕)で長府藩士の家に生まれ、若くして夫に死別。28歳で出家し、菊舎の号を得て、九州から奥羽(東北地方)まで旅を重ね、文人として活躍しました。

菊舎旅姿 太翔館(山口県下関市豊北町滝部)

この画幅で描かれた「菊」は秋の花、つまり「節句(せっく)」は「菊の節句」とも呼ばれる旧暦9月9日、つまり「重陽(ちょうよう)」のこととわかります。句の中で「香」と「可」を重ねるのも、9が重なる重陽を踏まえたものでしょう。

田上菊舎『「手いれせぬ」句自画賛 菊図』太翔館

節句の思想は、古代中国から伝来し、奇数をめでたいものとして「陽数(ようすう)」、一番大きな奇数である「九」が重なる9月9日を「重陽」と呼びました。日本では平安時代、菊にちなんで遊び菊酒を飲む行事が、宮中で行われるようになり、のちに民間にも広がりました。ちなみに、今年の旧暦9月9日は、今の暦で10月23日です。

また、道の駅ほうほくから、車で約1時間、下関市長府にある下関市立歴史博物館では、10月1日まで、特別展『花凛々と ―下関ゆかりの女性たち―』開催中。こちらは、江戸時代の下関にゆかりのある女性たちの多様な生き方を関連資料で展示。

こちらのメイン展示のひとつが、「田上菊舎自画賛 菊図」(豊浦小学校教育資料館蔵 下関市立歴史博物館寄託)。菊舎が、京都伏見の御香宮(ごこうのみや)で詠んだ句とともに、菊舎の名前の一字でもある菊の花を描いた作品。長府毛利家の女性たちや、高杉晋作や坂本龍馬を支えた女性たちに交じって、田上菊舎!

田上菊舎生誕270年記念企画展『旅の尼・田上菊舎 ―身は風雲の過客にして―』 太翔館(山口県下関市豊北町滝部)

田上菊舎の実家は長府藩士で、菊舎も長府に住んで旅に出ていたようです。今回の太翔館の展示には、長府毛利家の菩提寺・覚苑寺(かくおんじ)住職の晋山(しんざん:新しく就任)に詠んだ句や、正円寺(しょうえんじ)住職とやりとりした手紙もあります。

また、太翔館一階でも、田上菊舎生誕270年記念常設展『田上菊舎 ~歩神も一歩から~』開催中。太翔館と歴史博物館、ふたつの場所で、ぜひ田上菊舎の世界をお楽しみください☆

田上菊舎生誕270年記念常設展『田上菊舎 ~歩神も一歩から~』太翔館(山口県下関市豊北町滝部)

◆田上菊舎生誕270年記念企画展『旅の尼・田上菊舎 身は風雲の過客にして』

  • 2023年11月5日(日)まで
  • 9:00~17:00(入館は16:30まで)
  • 月曜休館(祝日は開館)
  • 入館無料
  • 下関市立豊北歴史民俗資料館「太翔館」(山口県下関市豊北町滝部3153-1)
  • 電話:083-782-1651

下関市立歴史民俗資料館「太翔館」 山口県下関市豊北町滝部

太翔館は、大正13年(1924)に建造された旧滝部小学校校舎。ルネサンス様式の石造建築を木造建築に取り入れた構造で、鳳凰が両翼を広げたような美しいたたずまいで、地元・豊北町阿川の宮大工が建てました。大正期の代表的な学校建築として、山口県指定文化財。昔懐かしい風情の建物に、ぜひお立ち寄りくださいね!

菊の花 道の駅ほうほく(山口県下関市豊北町)