よもつぎし　萬代を先つ　ひと夜酒（田上菊舎「笹葉に朱盃画賛」）

 

 

こんにちは。山田です。今朝の道の駅ほうほくは曇り、昼頃から雨の予報。今週はこれから雨のようですが、来週は晴れるようです。お出かけは計画的に☆

 

 

下関市立美術館・下関市立歴史博物館共同企画展「菊舎　旅と友を愛したひと」が始まったので、行ってきました。市立美術館は7/15（月祝）まで、歴史博物館は7/21（日）まで。

どちらも9：30～17：00（入館は16：30まで）、月曜休館、観覧料は一般が美術館500円、博物館210円。18歳以下は無料。

 

 

田上菊舎（たがみきくしゃ：1753～1826）は、江戸時代の長門国豊浦郡田耕村（山口県下関市豊北町田耕）で長府藩士の家に生まれました。名は道（みち）。

若くして夫に死別、28歳で出家し、俳諧の道を志します。菊舎の号を得て、九州から奥羽（東北地方）まで旅を重ね、文人として活躍しました。

 

 

美術館は「旅編」、博物館「ふるさと編」として、下関市内の個人所蔵家のコレクションを中心に展示。俳句がメインなので、軸物や屏風仕立てですが、最近はちゃんと翻刻がついているので、もとが崩し字でも、何と書いてあるかわかります☆

 

 

道の駅ほうほくから車で約10分、下関市立豊北歴史民俗資料館「太翔館（たいしょうかん）」では、常設展示「郷土の文人・田上菊舎」開催中。こちらは入場無料、9：00～17：00（入館16：30まで）、月曜休館。

 

 

俳句は五・七・五の短文詩で、もともと語感が軽くユーモアを楽しむものですが、菊舎の俳句は身の回りのことに目を配り、現代にも通じる気軽で楽しいものが多いです。俳句だけでなく漢詩や和歌、絵も描けば琴も弾く多芸な文人。

 

 

よもつぎし　萬代を先つ　ひと夜酒（田上菊舎「笹葉に朱盃画賛」）

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世も継ぎし　萬代（よろづよ）を先つ（まづ／まず）　ひと（一）夜酒（田上菊舎「笹葉に朱盃画賛」）

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これまで年齢を重ねてきて、これからもずっと過ごす時を、まず一夜酒（甘酒）から始めよう。

 

 

今回の冒頭は、太翔館で展示中の田上菊舎の掛軸「笹葉に朱盃画賛」から。「七十三齢菊舎」とあるので、73歳、文政8（1825）年。笹の葉の下に、朱色の盃が、枝と交差するように描かれた、菊舎らしい素朴な絵です。

 

 

現代語訳は、これで合ってるかどうか自信はないですが…甘酒を飲むというさりげない日常の中の風景に、これまで重ねた年月と、これから先過ごす時をふと思いやり、ここからまず始めるという、はりきった気持ちかなと。

 

 

「ひと夜酒（一夜酒）」は、一晩（半日）置いたら造れる甘酒のことで、夏の季語。夏の暑気払いとして、江戸時代の民衆に重宝されていたそう。菊舎も好きだったのでしょうね。

 

道の駅ほうほくには、甘酒や甘酒飴があります。長門ゆずきち入りの「元乃隅の甘酒」も。もちろんノンアルコールなので、お子さまも大丈夫です。

 

 

菊舎の気分を味わうなら、日本の伝統的な模様を活かした、日本のガーゼ手拭（てぬぐい）や大判ハンカチもあります。江戸時代の着物などに使われていた、麻模様や波模様、矢絣や蜻蛉など、どこか懐かしい見た目。こちらもぜひ☆

 

 

菊舎は尼僧なので、あまり派手なものは使わなかったでしょうが、もとは武家の娘で庄屋の若奥様。若い頃は、こういう柄の着物を着ていたかもしれません。周囲の人々の着飾った姿を、楽しく眺めることもあったことでしょう。