碧浪金波は三五の初
碧浪金波三五初(菅原敦茂/『和漢朗詠集』巻上245番)
こんにちは。山田です。今朝の道の駅ほうほくは、風はあるものの快晴。予報によれば、今週末のお天気は荒れそうなので、お出かけはお早めに。
先日、山口県立美術館で開催中の『超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA』展に行きました。金属、木、陶磁、漆、ガラス、紙などの多様な素材に、緻密な技を施した芸術品の数々。
いくつかは、SNSでの掲載を条件に撮影可だったので、撮ってみました。展示ケースの向こうなので、なかなか難しいのですが。実物と見まがう精巧な作り、組み合わせの妙による実物以上の拘りがすごいです。見ごたえあるので、ぜひお出かけください。
一方、豊北町には人の手を必要としない自然の芸術があります。先日、夕日を見に角島に行きました。最初は、牧崎風の公園へ。水平線に沿って雲が這っている日でしたが、紅の夕陽と薄青からどんどん色味を増していく空は、まさに芸術品。
碧浪金波三五初(菅原敦茂/『和漢朗詠集』巻上245番)
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碧浪(へきろう)金波(きんぱ)は三五(さんご)の初め(菅原敦茂/『和漢朗詠集』巻上245番)
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碧色の波と金色の波は十五夜のはじまり
今回の冒頭は藤原公任『和漢朗詠集』から菅原敦茂の漢詩「月影満秋池」の一節。藤原公任(ふじわらのきんとう:966-1041)は平安時代中期の公卿。関白太政大臣・藤原頼忠(ふじわらのよりただ)の長男。藤原道長の同世代で、文人として知られます。
『和漢朗詠集』は、藤原公任により編纂された和歌と漢詩の歌謡集。上下二巻。「和」は和歌、「漢」は漢詩のことで、朗詠に適した和歌216首、漢詩文の秀句588首の計804首を収めています。後世の文学作品には、この中から和歌や漢詩をそらんじている場面がたくさん登場します。
引用は、菅原敦茂(すがわらのあつしげ:?~926)の漢詩「月影満秋池」(げつえいしゅうちにみつ)」の起句。菅原敦茂は菅原道真の子で、平安時代前期の文人。
「碧浪」は青色や緑色の波で、「金波」は黄金色の波。月の光に照らされた。水面の波の色です。基本的に京都在住で、タイトルに「秋池」とあるように、この「碧浪金波」は池の波ですが、池も海も波は波ということで。
「三五」は掛け算で十五、つまり十五夜のこと。特に「十五夜の月」と言えば、だいたい八月十五日の、仲秋の満月を指します。日本の江戸時代以前の旧暦では、1月~3月が春、4月~6月が夏、7月~9月が秋、10月~12月が冬。それぞれの季節に「初」「仲(中)」「晩」があるので、8月は「仲秋」なのです。
旧暦は、月の運行を基準にした太陰暦(たいいんれき)なので、毎月の初めが新月、十五日が満月、月末から翌月の初めがまた新月となります。なので、8月15日の夜は「仲秋の満月」で、月を愛でることになっています。
この漢詩は、月光に照らされた池の水面に青色や金色の波が揺れていて、それこそが仲秋の名月を愛でる夜のはじまりだと言っています。平安時代の文人貴族が眺めるのは池の波ですが、現代の角島なら海の波!
秋の空は、いろんな雲が出る時があり、夕陽に染まって不思議な光景が見られます。国道191号は海に面しているので、夕景ドライブにおすすめ。日が暮れたら、角島大橋や角島灯台も良いです!
角島大橋のたもと、ホテル西長門リゾートさんのディナービュッフェは、秋のスペシャリティ・マグロフェア。下関市・長門市・美祢市在住の方を対象に、地元割(20%OFF)が始まりました。前日までに要予約。10月末まで。
芸術品のようなビュッフェメニューの数々で、いろんな味のマグロが楽しめます。ライブキッチンの握り寿司、自分で組み合わせる鉄火丼も。
きれいな夕景を眺めながら、たまにはマグロ尽くしもいいですね。なお、11月のスペシャリティは、黒毛和牛のローストビーフ。こちらもぜひ。
道の駅ほうほくには、地元の手芸作家さんによる、芸術のような手工芸品もあります。きれいなものやかわいいものがたくさん!
編みぐるみやアクセサリー、お部屋を飾るインテリアも。ぜひ手に取ってみてください☆