太翔館五月人形と山口県政資料館
節は、五月にしく月はなし。菖蒲、蓬などのかをりあひたるも、いみじうをかし。(清少納言/『枕草子』第39段「節は五月にしく月はなし」)

太翔館「若大将飾り」 2025年6月1日まで 山口県下関市豊北町滝部
こんにちは。山田です。今朝の道の駅ほうほくは快晴、おでかけ日和☀

角島大橋 山口県下関市豊北町
道の駅ほうほくから車で約10分、下関市豊北町滝部にある下関市立豊北歴史民俗資料館「太翔館(たいしょうかん)」では、1階和室で、五月人形「若大将飾」の展示がはじまりました。もうすぐ五月五日、端午の節句ですね!

太翔館「若大将飾り」 2025年6月1日まで 山口県下関市豊北町滝部
赤地錦(あかじにしき)の直垂(ひたたれ)に、大鎧(おおよろい)、鍬形兜(くわがたかぶと)。屏風(びょうぶ)の前に毛皮を敷いて座り、鯉のぼりや吹き流しを立て、陣太鼓(じんだいこ)や軍扇(ぐんせん)、勝負にかけた菖蒲(しょうぶ)を飾り、篝火(かがりび)も備えた、本格的な作り。ぜひご覧ください!

太翔館「若大将飾り」 2025年6月1日まで 山口県下関市豊北町滝部
太翔館は、1924(大正13)年に建造された、旧滝部小学校の校舎。滝部出身の実業家・中山太一の寄贈による、鳳凰が両翼を広げたような美しいたたずまいが特徴です。月曜休館、入館無料。

下関市立豊北歴史民俗資料館「太翔館」 山口県下関市豊北町滝部
ルネサンス様式の石造建築を木造建築に取り入れた構造で、大正期の代表的な学校建築として、1979(昭和54)年、県の有形文化財に指定されました。現在は、歴史民俗資料館として活用されています。大正レトロな建物も、ぜひご堪能ください!

県政資料館(旧県庁舎) 山口県山口市
先日、お休みだったので、山口市の山口県庁の敷地にある県政資料館に行きました。大正5(1916)年に建てられた、旧県庁舎及び県会議事堂。月曜休館、入館無料。

県政資料館(旧見解議事堂) 山口県山口市
西洋の近代的な建築様式と、伝統的な和様式が融合した、大正建築の粋を集めた貴重な建築物として、昭和59(1984)年に国の重要文化財に指定されました。煉瓦造りを漆喰で飾り、細部意匠には日本及び東洋の伝統と、欧米最新のデザインを大胆に採用。見ごたえあります。

県政資料館(旧県庁舎) 山口県山口市
館内では、山口県の行政の歩みなどを展示しています。太翔館は西洋建築の様式を木造で模して作っていますが、こちらは建築技術をそのまま取り入れたもの。西洋文化の地方への伝播の過程とも、言えるかもしれません。

県政資料館(旧見解議事堂) 山口県山口市
節は、五月にしく月はなし。菖蒲、蓬などのかをりあひたるも、いみじうをかし。(清少納言/『枕草子』第39段「節は五月にしく月はなし」)
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節句は、五月の端午の節句に勝る月はない。菖蒲や蓬などの香りが入り混じるのも、たいそう趣深いものです。

太翔館「若大将飾り」 2025年6月1日まで 山口県下関市豊北町滝部
今回の冒頭は、平安時代の随筆『枕草子(まくらのそうし)』から。作者の清少納言(せいしょうなごん)は、清原元輔(きよはらのもとすけ:908~990)の娘として生まれ、一条天皇の中宮・藤原定子に仕えました。『枕草子』は、彼女が女房として活躍していた期間に書かれたもの。
五月五日の節句は、平安時代から行事として行われていました。ただ、当時は旧暦。今年の暦に直すと、5月31日にあたります。気温などだいぶ雰囲気が違いますが、そういえば菖蒲の盛りはその頃ですね。

太翔館「若大将飾り」 2025年6月1日まで 山口県下関市豊北町滝部
五月人形を飾るようになるのはだいぶ後、江戸時代になってから。平安時代の貴族たちは、菖蒲や蓬を含む季節の植物を束ね、麝香(じゃこう)、沈香(じんこう)、丁子(ちょうじ)などが入った香袋を合わせて,五色の糸を長く垂らした「薬玉(くすだま)」を送りあい、部屋に飾っていました。
端午の節句は、強い香りを放つ薬草や香料の力で、邪気を祓う行事。庶民の家でも、菖蒲を屋根に飾って、厄払いとしていたようです。菖蒲や蓬のすがすがしい香りに包まれると、気持ちが良かったのでしょう。

道の駅ほうほく 山口県下関市豊北町
道の駅ほうほくには、よもぎ餅もあります。今の季節に厄除けの草の香りを、ぜひどうぞ☆